吉村昭「鰭紙」

先日、機会があって特養で開かれたケース会議に参加しました。

ご本人も出席されて今後の介護計画が話し合われたのですが、とてもデリケートな話が多職種連携というのでしょうか、少なくないスタッフの間で交わされるのに、正直居たたまれない気持ちでいっぱいになっておりました。

本人のことだから、本人立ち合いと同意が必要・・・とは頭ではわかっていても、本人が知らなくてもいいことってあるんじゃないかしら?とも考えられて、頭の中がぐるぐるしています。

吉村昭さんの短編集「天に遊ぶ」に収録された「鰭紙」は、歴史を紐解いて現在に生きる人にたどり着いた時、ゆかりの人に歴史の事実をあえて知らせる必要はないと判断する人たちのお話です。鰭紙とは今でいう付箋紙のこと。

自分でない他人の人生に携わることの重みを、利用者援助の現場では常に背負っていることを考えることが多くなった最近です。

 

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